私も短期間ですが、海上自衛隊に籍を置き、わずかながら現場での研修を経験した者として語らせて頂きます。
近年、海上自衛隊が提供するカレーが民間の皆様からの認知度を上げています。
曰く。
・毎週金曜日に提供して曜日感覚を保持する
・旧海軍からの伝統
・金曜日はカレーの日
全く違うのですが、意外に信じておられる方が多いみたいですね。
それでは解説させて頂きます。
【毎週金曜日に提供して曜日感覚を保持する】
日々訓練に励んでいる自衛隊員が曜日を間違える事は稀です。
ほぼ無いと断言できます。
長期航海だろうが、訓練は日々行われていますので今が何月何日で何曜日かを誤認する事は、よほどボッっとしていない限りあり得ません。
【旧海軍からの伝統】
確かに、旧海軍ではイギリスからカレーの文化を取り入れ、海軍の公式なレシピに記載しています。
でも、旧海軍でカレーを栄養食として食べていたのは事実ですが、曜日を固定して食べていた事実は確認されていません。
つまり、旧海軍からの伝統は本当ですが、今の海上自衛隊の金曜カレーの習わしとは異なります。
【金曜日はカレーの日】
そもそも、なぜ金曜日がカレーの日になったのかは、週末である土曜日がカレーの日だったのが、週休二日になって金曜日に移動したのが発端です。
なぜ、週末にカレーを提供していたのか。
それは、海上自衛隊の乏しい糧食予算が原因なんです。
船乗りの常識として美味しい食事を提供出来なければ、船内で反乱が起こる。これ常識です。
長期間、海の上で暮らす遠洋航海を行う船乗りにとって、食事は最大の娯楽です。
それが不味かったら。反乱です。
なので、長距離航海を行う船の調理担当者は、実戦もかくやと思うほどの必死の取り組み姿勢で日々の食事を用意しています。
そこで、カレーです。
保存が可能な食材である、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ。それが主体となるのがカレーです。
もちろん、牛豚鳥のお肉もですね。
先に挙げた海上自衛隊の乏しい糧食予算が原因とは、それまで糧食として用意した結果、使って余った材料を有効活用する手段として最適だったのがカレーなんです。
大量に用意することが可能で、材料としての食材の自由度が高く、栄養価が高く、人気もあるメニュー。
それがカレーであり、余った食材の消費目的に合致していたから海上自衛隊の食事として定着したのが本当の金曜日カレーなのです。
その経緯と調理担当者の工夫の成果として海軍カレーと呼ばれる海上自衛隊の名物カレーが海上自衛隊の各主要な基地で受け入れられ、名物となったのです。
