書籍「影響力の武器」の扉絵の言葉

「文明が進歩するということは、自分の頭で考えなくても様々な事が出来てしまうといくことである(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド)」
私なりに解釈すると、「仕組みや仕掛けを知らなくても利用できる便利なものが周りにあふれかえっている状態が文明の進歩の結果」と言い換えることができます。

冷蔵庫が冷やしてくれる仕組みを知らなくても便利に利用できる。
自動車や飛行機と言った移動手段の仕組みを知らなくても便利に利用できる。
テレビやスマホ(携帯電話)の仕組みを知らなくても便利に利用できる。

数え上げれば枚挙の暇はありません。

先人である誰かが必死になって考えてくれた仕掛けがその仕組みを知らなくても便利に使える環境に身を置いている。考えてみれば少し恐ろしいと感じることもあります。
ただ、普段の私たちは「そんなこと知らなくても便利なんだからいいじゃん」と思う事もなくその恩恵を享受しているはずです。

良い悪いではありません。先人が「何とか誰もが豊かな生活を送るための仕掛けがないものか」と考えたのか「こんな仕掛けがあればもっと楽になるのに」と考えたのかは分かりませんが今の便利な生活が出来ているのは事実でしょう。

もっとも、最近まで身を置いていた業界にいる優秀なプログラマの皆様が「1時間の仕事を10秒で終わらせるために丸一日かけてプログラミングしている」のを拝見していて苦笑いしていた記憶はあります。

文明と文化

文明と文化の違いは明確ですね。多くは語りません。文明は物質的・即物的・時間的な概念であり、文化は象徴的・心象的・精神的な概念だと思います。(異論は認めます)
文明の進化は文化の進化とは連動しません。ですが、文明の進化で物質的な余裕が生まれないと文化的な活動の余裕がないのは事実だと思います。
心の余裕が無いと文化的な活動は出来ず日々の生きるための行動に忙殺されてしまうのでしょう。

本を読むと言う事

本を読むと言うことは、ほとんど例外なく著者の思考の追体験です。
歴史書でも、小説でも、哲学でも、数学でも、漫画でも、書籍に書かれたものは著者が書き記したかった自分の思考を文字や絵として表現したものを読者が追体験していると私はとらえています。

なので、本を読むと言う行為は様々な著者の思考をなぞり様々な追体験を重ねることで思考の幅を広げ、自己の時間軸の中では到底なしえなかっただけの経験を数多く経験すると言った意味では人生を豊かにし、思考の幅を広げることになるのではないかと思います。

人工知能がもたらすもの

近年のAI(人工知能)の進化は目覚ましいものがあります。
先のブログでも記載しましたが、ChatGPTは行政書士の仕事を無くし、行政書士の仕事を効率化し、行政書士の仕事の品質を向上させる高い可能性を持っています。

ひょっとすると、先に記述した「文明が進歩するということは、自分の頭で考えなくても様々な事が出来てしまうといくことである」の究極を体験できる時間軸に私たちは居るのかも知れません。

シンギュラリティ(技術的特異点)と言う言葉をご存知の方も多いと思います。人間の脳と同レベルのAIが誕生する時点を表すのだそうです。

余談ですが、創作物(小説や映画など)では人間の記憶を動画的に捉えて「思い出す」ことは「過去に気押した動画を巻き戻して再生する」的な表現をしているものが少なくありません。
私の読んだ書籍では「人間の記憶はその場で再構成されており、記憶はその後の感情の揺らぎによって改変されている可能性がある」と言うような記述がありました。
「思い出は美しすぎる」のは、そうした改変による影響なんじゃないかと思っています。自分自身の記憶がそうなだけかも知れませんが。

話しを戻して、AIは膨大は量のデータを蓄積し類型化し関連付けして人間とは異なり正確無比に再現できます。
良く知られた話ですが、「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする(情報をカタログ化する)こと」だそうです。
既存の情報へのアクセスを使命としており、蓄積したデータを再構成したりすることは現時点では使命とはしていないようです。

そこにAI(ChatGPTなど)の登場です。AIは人間的に蓄積したデータを再構成します。そのままデータを提供・表示するのではなく、要約したり比喩表現を使ったりします。
先日、人気声優の声を再構成して、その声優さんが歌ったこともない歌だったり、言ったこともないセリフだったりを、その声優さんそっくりの声で表現した事がニュースになっていました。

Googleの使命は、声優さんの過去の発表へのアクセスを容易にします。AIは声優さんの過去の表現を再構成し、なかったものを生み出します。
どっちが良い悪いの話ではありません。包丁やハサミと同じく、使う側の利用スキルやモラルが求められています。

馬鹿とハサミは使い様

「仕組みや仕掛けを知らなくても利用できる便利なもの」として利用可能なレベルにAIが進化してきました。
ノーベル賞で有名なアルフレッド・ベルンハルド・ノーベルは、世界中の採掘や土木工事へ貢献できる技術として不安定なニトログリセリンを改良してダイナマイトを発明しました。最初から人殺しの武器が作りたかった訳ではありません。
広島・長崎で使用された原子爆弾も、その基礎理論を考えたアルベルト・アインシュタインを始めとする物理学者たちは大量殺りく兵器を作りたくて研究を行っていた訳ではないはずです。

過去に何度も言われてきたことですが、「馬鹿とハサミは使い様」は、けだし名言だと思い至りました。

それなりに面倒な性格をしていますが、宗像市の市民の方々に有益なる行政書士になるべく日々努力しておりますので、よろしければ私のホームページを訪問して頂ければと思います。

「行政書士入江登喜夫事務所のホームページ」