申請の概要

帰化申請に要する期間は申請(書類点検と呼ばれます)からおおむね1年くらいです。
申請先は法務局です。
申請が認められると「帰化者の身分証明書」が発行されます。これに基づいて戸籍の調製(新たな日本人としての戸籍の作成)を行います。

帰化は外国人であれば基本的に誰でも申請が認められていますが一方で法務大臣の自由裁量に基づく許可でもあります。

行政書士業務としての申請の流れ

概ね以下の流れに沿って申請することになります。

・初回面談
・書類収集方針と今後の手続きの進め方についての打合せ
・書類収集と事実確認など(このタイミングで申請の可否の判断を行います)
・所轄窓口(法務局)への事前相談(書類点検:申請者に同行します)
・審査担当者による面談(補正などの指示、変更事項に関する報告)
・本省での審査、変更事項に関する報告
・結果の通知(官報記載により帰化の効果が発生します)
・帰化者の身分証明書交付と帰化届に関する教示
・帰化届(戸籍の調製)

帰化申請の根拠法

原則外国籍を離脱して日本国籍を取得する(日本人になる)のですから根拠法は国籍法です。

普通帰化の基本的条件

帰化条件以下の通りです。ただ、法務大臣の自由裁量に基づく許可でもありますので充足すれば当然に認められる訳ではありません。

1.居住条件
ざっくり言えばこれまで5年以上日本に住所がある(日本に住んでいる)事が必要です。
日本以外の場所に旅行に行っていた期間は除かれます。

2.能力条件
ざっくり言えば未成年は「普通帰化」では帰化申請できません。
後に述べる「簡易帰化」での帰化申請になります。

3.素行要件
ざっくり言えば刑事罰を受けていないか。租税などのの滞納がないか。地域社会に迷惑をかけていないかが判断されます。

4.生計条件
ざっくり言えば生活していけるだけの給料、仕送り、扶養などで安定した生活が出来るかが判断されます。

5.重国籍防止条件
ざっくり言えば、帰化した後で日本以外の国籍を持たないかが判断されます。
ただし、他国への帰化で原国籍の離脱・当然喪失を認めない国もありますので、その場合には親族関係や境遇などで特別な事情があればこの条件は免除される事があります。

6.不法団体条件
ざっくり言えば、テロリストとかじゃない事が必要です。

簡易帰化による条件緩和

普通帰化の中で未成年は「普通帰化」では帰化申請できないので「簡易帰化」での帰化申請と言いましたが、ここでは条件緩和についてお話致します。

1.日本国民や日本国と特別の血縁・地縁関係を有する外国人への緩和


現に日本に住所を有する外国人で以下のいずれかに該当すれば簡易帰化が認められることがあります。
・日本国民であった者の子で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
・日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
・日本で生まれた者でその父若しくは母が日本で生まれたもの
・引き続き10年以上日本に居所を有するもの

特別在留者はこの緩和条件に当てはまりますね。

2,日本国民の配偶者である外国人への緩和


日本人の配偶者では居住条件と能力条件が緩和されます。
条件は以下の2種類のいずれかです。
(1)以下のいずれにも該当する場合
・日本国民の配偶者であること
・引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
・現に日本に住所を有する者
(2)以下のいずれにも該当する場合
・日本国民の配偶者であること
・婚姻の日から3年を経過していること
・引き続き1年以上日本に住所を有するもの

3.日本国民や日本国と「密接な」特別の血縁・地縁関係を有する外国人への緩和


以下のいずれかに該当していれば居住条件と能力条件と成形条件が緩和されます。
・日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
・日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組の時に本国法で未成年であったもの
・日本の国籍を失ったもの(帰化した後に日本の国籍を喪失したものを除く)であって、日本に住所を有する者
・日本で生まれ、かつ出生の時から国籍を有しない者であり、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

申請書や必要書類

全部記載するととんでもない量になりますが、都合の良いことに法務局に「帰化許可申請のてびき」があります。
30ページくらいの書類なので比較的短時間で読めると思います。

「帰化許可申請のてびき」の表紙にも記載がありますが、帰化許可申請後に以下の様な場合には必ず速やかに法務局の担当者に連絡してください。
・住所又は連絡先を変更したとき
・婚姻,離婚,出生,死亡,養子縁組,離縁など身分関係に変動があったとき
・在留資格や在留期限が変わったとき
・日本からの出国予定が生じたとき
・日本からの出国後再入国したとき
・法律に違反する行為(交通違反を含む。)をしたとき
・勤務先など,仕事関係が変わったとき
・帰化後の本籍や氏名を変更しようとするとき
・新たな免許・資格の取得その他法務局へ連絡する必要が生じたとき
・その他、特に書類検査担当者等から指導を受けた事項

帰化の動機書

上記てびきには記載されていない提出書類に「帰化の動機書」があります。
記載は原則として「すべて申請者本人による手書き」とされている様です。
その記載内容は以下です(一例)
・日本に入国、上陸し、居住するに至った経緯及び動機
・日本における生活についての感想、職業、休日の過ごし方、趣味など
・日本に入国し上陸した後に行った社会貢献や地域貢献
・日本における交友関係(職場や地域)
・在日親族との関係など
・本国、第三国における交友関係
・本国、第三国に所在する親族との関係など(往還、財産関係など)
・本国(申請時点での国籍国)に対する気持ち
・帰化許可後に行う意思を持っている社会貢献や地域貢献
・帰化許可後の日本での生活の予定

宗像市の市民の方々に有益なる行政書士になるべく日々努力しておりますので、よろしければ私のホームページを訪問して頂ければと思います。

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