これから先の記述は恐らく一般の方々向けではないと思います。
ご興味のある方々だけお読みください。

行政書士勉強のきっかけ

私が行政書士試験の勉強をするきっかけとなったのは契約業務の勉強をしたかったからです。

それなりの規模の会社に所属し、営業として活動している中で契約書は案件単位に当然のように発生しました。

小規模案件や相手先の担当者が緩い場合には「当社(契約)書式でお願いします」で通用しましたが、それなりの案件規模になったり相手先が大企業となると契約書の確認、添削が発生します。

お互いの会社で保有する契約書のどちら(相手先のものか、自社のものか)を選定することから始まって選定した契約書の内容を確認して可能な限り自社に不利にならない様に文面の変更を要求します。
ここで重要なのは「自社に不利にならない様に」であり、「自社に有利になるように」との交渉は営業として契約活動する中では皆無でした。

最も多かった修正事項

当社書式契約書を相手方に提示した時に最も多かった修正事項は「管轄裁判所」でした。紛争になった時に「どこの裁判所で争うか」を決める条文は当社書式では法務部門が存在する本社のある「東京地方裁判所」でした。
紛争になった際に最もその対応スキルを持った当社社員がいるのは東京本社です。当然の様に「本社の所在地の管轄である東京地方裁判所」を当社書式では管轄裁判所としています。

でも、東京に本社がある会社ばかりが取引相手ではありません。当社の支社・支店・営業所の管轄地域に本社のある取引先があるのは想像に難くないと思います。
まして地方公共団体(県・市・町・村」がわざわざ遠方にある東京地方裁判所に出向いて争うのを忌避するのは当然でしょう。

「契約条文の大部分には異論はないが、管轄裁判所は当方事務所の管轄裁判所として頂きたい」との要求が出るのは当然だと思います。当社の法務部門も「紛争になった場合の裁判への出席その他紛争業務の大半をそちらの支店で対応して貰えるなら条文変更は容認します」との回答になるのも当然でしょう。

私も責任者として東京地方裁判所以外での対応をした経験はあります。「契約しないと売上が上がらないんだから当然の義務だから」と軽く考えて受け入れたのですが、意外に大変でした。そりゃ嫌がるよね。何度も裁判所やら何やらから呼び出されて説明聞くのは。
私が担当した事案に債権者集会がありました。何度も呼び出されて、当社の業容からすると大した金額でもない債権(債権額が数万円)なんですが、債権者と債務者の関係からすると債権者集会には参加してないと発言も出来ないのですから。そんな集会に本社の法務部門が直々に対応する訳もなく、「入江さん、行っといて」と投げられ「こっちで何かあったら自分が対応する」と見栄を切った関係で責任者として対応しました。

契約書の修正について

こうした経験から契約書の文面変更は、法務部門から「変更しても良いけど対応をそっちでね」と言われる面倒臭さは熟知しています。本当に個別対応は面倒臭いです。

まして、こちらは「これは相手に飲ませたい事項」とか「これは妥協しても良い事項」とかが入り混じった契約書の文面作成は、本当に面倒くさいです。
本気の相手は優秀な弁護士とかを立ててきますから対応するのは正直素人では無理です。

法人対個人では民法が適用されます。法人対法人では原則商法が適用される。地方自治体との契約は法人であろうが個人であろうが民法が適用されます。そして先の民法改正で瑕疵担保責任から「契約不適合責任」と表現方法が変わり、あれやこれや売主の責任が重くなっています。

民法では『当事者間で結ばれた契約に対して は、国家は干渉せず、その内容を尊重しなければなりません。 これを契約自由の原則といいます。「契約を結ぶかどうか」、結ぶとしても「誰と結ぶか」、「どのような契約内容にするか」について、 当事者は自由に決めることができます』と法定されています。
つまり「当事者間で合意した内容は合法」としています。

こうした事から契約書の条文は相互間でとても大切であると言えます。
契約担当者(営業マン)は軽く考えがちなんですけど。

法的知識の必要性

こうした事から契約書に記載される内容はとても重いはずですが、意外に当事者間では簡単に感じがちだと思います。
個人・法人問わず契約的な知識のないままに契約書を取り交わす事がリスクのある事だとご理解頂けますでしょうか。

実務経験について

もともと、あらゆるリスクに対応する契約を法務部門に丸投げすることなく実務を通じて知識を身に着け実務経験を積んできました。
もちろんあらゆる事象を経験してきた訳ではありませんが、泥臭い現場での経験は法的知識だけの行政書士とは異なった経験ではなかったと思います。
「それはヤバい」と感覚的に察知する嗅覚は実務を経験した営業マン経験からの第六感を鍛えてくれてくれたと思います。

一つの契約の修正から合意に至るまでに一年以上かかった経験もあります。
相互に契約前提なのに条文の細部の修正で一年間以上です。契約業務については、これって私の感覚からすると「普通」です。でもきっと契約業務の経験が浅い方々では「異常」なんじゃないでしょうか。

逃げません。最後までお付き合いします。そして最後までお付き合い頂いた依頼者の方の満足を得るように努めます。「満足して頂ける」なんて言えません。だって相手のある事なんですから。

最後に

先のブログでも記載しましたが、私の大学時代からのモットーは「Follow me(我に続け)」です。受任した案件はここまで書き記した事でお分かりいただける様に「最後まで逃げない」です。徹頭徹尾お客様のご意向に寄り添います。

そんな面倒くさい行政書士でよろしければ私のホームページを訪問して頂ければと思います。

「行政書士入江登喜夫事務所のホームページ」